コロナ禍以降、在宅で仕事をしているという人が一気に増えた。
コロナの流行が落ち着いた後も、喫茶店などで仕事をしている人が以前よりも増えており、「インターネット」さえあれば仕事ができるという人が増えている感覚だ。
通勤しなくてもいい。家で仕事ができる。
在宅ワークやテレワークなどと呼ばれることが多いが、私もその中の一人だ。
月に外仕事といえるのは2、3回であり、基本的には家で仕事をしている。しかし、その家でずっと仕事をしていると煮詰まるという人は多いのではないだろうか。
家で仕事ができるのは便利だ。
だが、便利すぎるがゆえに、仕事と休憩の境目が曖昧になる。
机に向かえば仕事はできる。
しかし、机に向かっているのに仕事が進まない日もある。
そんなときに使いたくなるのが、喫茶店やコワーキングスペースだ。
増え続けるコワーキングスペース

ここ数年は、コワーキングスペースというものがものすごく増えている。利用したことがないという人でも、駅や街中でこういう「ボックス」を見かけたことはないだろうか。
これはまさにコワーキングスペースの1つだ。仕事をするためにお金を払って場所を借りている。
とんでもない矛盾だ(苦笑)。
お金を稼ぐために仕事をしているのに、その仕事をするための場所に、わざわざお金を払っている。家や職場、普段仕事をする場所はあるのに、それ以外の場所にお金を払っている人は多い。
私もその中の一人だ。
ただ、冷静に考えると、そこで買っているのは単なる「場所」ではないのかもしれない。
静かな空間。
他人の目。
ほどよい緊張感。
そして、仕事をするしかない状況。
そういったものに対して、お金を払っているのだろう。
気分転換

どうしても外出しなければならないとき、その外出先での空き時間に仕事をするため、喫茶店やコワーキングスペースを使う人は多いだろう。
それ以外だと、気分転換でこういった場所を使っている人も多い。家とは違う場所で作業をする。それはまるで、マックで勉強をする学生と同じだ。
家でずっとやっていると煮詰まってしまう。
同じ机。
同じ椅子。
同じ部屋。
同じ景色。
その環境で毎日仕事をしていると、どうしても脳が慣れてしまう。心理学的には「環境の刺激不足」が原因であり、同じ空間に留まることで集中力や創造力が落ちやすくなるらしい。
だからこそ、そのリセットの場として、マックや喫茶店、コワーキングスペースが利用されている。在宅ワーカーやテレワーカーが増えた現代だからこそ、コワーキングスペースの需要も一気に伸びているのだろう。
家で仕事ができる時代になったからこそ、逆に「家以外で仕事をする場所」が必要になっている。
これもまた、なかなか面白い矛盾だ。
シェアラウンジ

そんなコワーキングスペースの中で、一気に増えているのが「シェアラウンジ」だ。
TSUTAYAが運営するこのコワーキングスペースは全国展開していて、着々と店舗数を伸ばしている。
私が住んでいる神奈川県でもかなり店舗が増えていて、最近では「みなとみらい」にもできた。
先日、たまたま「みなとみらい」店を利用し、さらに鶴見店、綱島店も利用する機会があったので、軽くレビューがてら使い心地を残していく。
みなとみらい

できたてほやほやのみなとみらい店は比較的空いている。他店舗と比べると半個室になっているようなスペースこそ少ないものの、今は人が少ないからこそ、気軽に利用できる感じがあり、雰囲気も悪くない。
ここでは高級キーボードを貸し出していたりする特徴があり、他店舗と比べてまだ落ち着いた印象がある。ドリンクやフードの種類も多い印象だ。
椅子の質も悪くなく、たまに利用するのは良いかなという感覚になる店舗だ。
ただ、仕事に集中する場所として見ると、半個室の少なさは少し気になる部分でもある。人が少ない今だからこそ快適だが、今後利用者が増えてくると印象は変わるかもしれない。
とはいえ、みなとみらいという立地で、空き時間に少し仕事をする場所としてはかなり使いやすい。
買い物や用事のついでに1時間だけ作業する。
そういう使い方とは相性が良さそうだ。
鶴見店

所用での待ち時間が1時間~2時間ほど空いたので利用してみた。ここはすごい。正確にはオリーブラウンジなのだが、半個室になっているようなブースがかなり多く、平日なら比較的空いており、静かだ。
なによりここは「スターバックス」のコーヒーマシンが置いてあり、飲み放題である。1階がスターバックスの店舗になっているが、スタバで2杯飲むなら、1時間ここで過ごしたほうがコスパはいいだろう。
フードの量は少ない印象だが、十分な席数があり、個人的には3店舗の中で1番また利用したいと思える店舗だった。
特に良かったのは、作業するための空気がちゃんとあるところだ。
広いだけではなく、席の作りが仕事向きになっている。
半個室のブースが多いと、周囲の視線も気になりにくい。
私は家で仕事をすることが多いからこそ、こういう「集中するために整えられた空間」のありがたみを強く感じた。
仕事をするためにお金を払うという矛盾。
その矛盾に一番納得できたのは、この鶴見店だった。
綱島店

逆に、もう使わないかもしれないと思ったのが綱島店だ。シンプルに人が多い。
半個室になっているような席が3、4席あるが、常連らしき人が長時間利用しており、なかなか空きそうにない。電話もOKな場所があるため、話し声も聞こえやすい。
席数はかなり多く、広い店舗ではあるものの、フードやドリンクの特徴はあまりなく、みなとみらい店のほうが落ち着いて作業できる感じがあった。
もちろん、これは利用した時間帯やタイミングの問題もあると思う。
人が多いということは、それだけ需要があるということでもある。
ただ、私が求めていた「静かに作業する場所」としては、少し合わなかった。
もしかしたら時間経過で、みなとみらい店もこうなってしまうかもしれない。新しい店舗は最初こそ空いているが、認知されるにつれて常連も増えていく。
コワーキングスペースは、人が少なすぎると寂しい。
しかし、人が多すぎると集中できない。
このバランスがかなり難しい場所なのだと感じた。
シェアラウンジ料金
店舗によって多少差はあるが、1時間1200円~1500円ほどだ。
1日だと4000円~5000円ほどになる。1時間だけちょっと利用するか、1日がっつり利用するかのどちらかがコスパが良いだろう。
ドリンクやフードがフリーで、飲み放題・食べ放題なのは店舗共通であり、多少ラインナップに差はある。どうしても気分が乗らない時、がっつり仕事をする時、そういう時に利用するのは悪くないかなとも思ったが、手軽な料金ではないというデメリットもある。
正直、安くはない。
1時間1200円以上と考えると、普通に喫茶店でコーヒーを飲みながら作業したほうが安い。自宅なら当然0円だ。
それでも、シェアラウンジにはシェアラウンジの良さがある。
ドリンクやフード込みの料金。
電源やWi-Fiが使える安心感。
長時間いても気まずくない空気。
そして、周囲も何かしら作業をしているという環境。
喫茶店で仕事をしていると、混んできたら長居しづらい。
隣の席との距離が近いと、作業もしづらい。
コンセントがない場合もある。
そう考えると、単純に「高い」とは言い切れない部分もある。
高いからこそ本気になれる
ただ、個人的に一番大きいと思ったのは、手軽ではない料金を出すからこそ本気になれる部分だ(笑)。
せっかくわざわざお金を払って仕事をしている。
この精神的な追い込みが、仕事の効率を一気に上げる部分がある。
家だと、少し疲れたらベッドに転がれる。
少し飽きたらYouTubeを見られる。
少し眠くなったら昼寝もできる。
それはそれで在宅ワークの良さではあるのだが、同時に弱点でもある。
自由すぎると、人間は簡単にだらける。
その点、シェアラウンジは違う。
時間ごとにお金が発生している。
今この瞬間にも料金が積み上がっていると思うと、嫌でも仕事をしようという気持ちになる。
つまり、シェアラウンジで買っているのは、場所ではなく「逃げ場のなさ」なのかもしれない。
家でも仕事はできる。
でも、家では仕事をしなくてもいい理由も無限に作れてしまう。
だからこそ、お金を払ってでも、仕事をするしかない場所に自分を置く。
仕事をするためにお金を払うという矛盾は、よく考えるとそこまで矛盾ではないのかもしれない。
在宅ワーク時代の贅沢
昔なら、仕事場は会社だった。
会社に行けば仕事をするしかない。
家に帰れば休む。
その切り替えが、ある意味では自然にできていた。
しかし、在宅ワークになると、仕事場と生活空間が同じになる。通勤がなくなった代わりに、仕事と生活を切り替えるスイッチもなくなってしまった。
そのスイッチを外部に求めると、喫茶店やコワーキングスペースに行き着く。
そう考えると、シェアラウンジは在宅ワーク時代の贅沢なのかもしれない。
毎日使うには高い。
でも、月に1、2回なら悪くない。
どうしても気分が乗らない日。
家では仕事が進まない日。
外出先で中途半端な空き時間ができた日。
そういうときに、仕事をするためのスイッチとして使う。
そのくらいの距離感なら、シェアラウンジはかなり便利な場所だと感じた。
月1、2回、こういう場所を利用するのも悪くないかもしれない。
仕事をするためにお金を払う。
やっぱり矛盾している。
でも、その矛盾が意外と仕事を進めてくれる。
そんなことを思った6月だった。

