椅子というのは、人が生きるうえで永遠のテーマの1つでもある。
子供の時に座る椅子、学生になって座る椅子、社会人になってから座る椅子、家の中で座る椅子。二足歩行で生きる人間にとって、「椅子」は欠かせない存在だ。
オフィスチェアで有名なものは数多くある。1番有名なのは「アーロンチェア」だろう。この手のオフィスチェアとしては鉄板すぎるほどの商品で、オフィスチェアを探し求めた人がたどり着く最終形の1つだ。
だが、それが「全人類」にとっての答えであるとは限らない。人間の身長も体重も、背骨の形も、座り方も違う。ならば、全人類に合う椅子など存在しないのかもしれない。
しかし、今回「提供」を受けた「LiberNovo Omni」は、そんな椅子という千里の道の先にある到達点の1つかもしれない。
LiberNovo

LiberNovoはまだまだ新参のメーカーで、2023年に設立されたばかりのメーカーだ。
世界有数のロボットメーカー出身の新進気鋭のエンジニアたち。彼らが長年デスクワークを続け、理想の椅子を作るために生まれたメーカーといってもいい。
そんなメーカーの商品がアメリカのクラウドファンディングで予約開始されると、先行予約の総額はわずか60日で11億円超を記録。
世界中の約1万人から支持を集めた注目のプロダクトとして生まれたのが「LiberNovo Omni」だ。
それだけ多くの人が、この「LiberNovo Omni」に期待を寄せた。
今回、そんな「LiberNovo Omni」を提供いただき、すでに1ヶ月ほど使用している。
果たして11億円もの期待を集めた椅子は、本当にそれほど凄いのか。
ガッツリとレビューしていく。
組み立て

LiberNovo Omniは分解された状態で届く。
高級なオフィスチェアの場合、完成品が送られてきて組み立てる必要がない商品も多いが、LiberNovo Omniは自分で組み立てる必要がある。
その点が気になる人も多いかもしれない。
ただ、組み立て自体はそこまで難しくない。いくつかのパーツに分かれているものをはめ込み、ネジ止めするだけ。

工程としてもそこまで多いわけではなく、早ければ20分、かかっても40分くらいで組み立ては終わるだろう。
本体に付属している説明書自体は簡素なものだが、公式YouTubeにも組み立て動画が上がっている。組み立て前にそちらを見ておけば非常に分かりやすい。
組み立て式ということで懸念してしまう人もいるかもしれないが、逆にいえば組み立て式だからこそ「パーツの交換」がしやすいということでもある。

メーカー保証は、チェアフレームなどの電子部品を除く部分が5年間、バッテリーやアクチュエーター、配線などの電子部品が2年間の限定保証となっている。
さらに公式サイトでは、それぞれの交換用パーツも販売されている。

例えば数年使用して座面が汚れたり、ヘタってしまったとしても、座面だけを交換することができる。
電動部品に不具合が発生した場合でも、椅子全体を交換するのではなく、必要なパーツのみを交換できる構造だ。
高級チェアというのは長く使うものだ。
だからこそ、壊れたら椅子ごと買い替えるのではなく、パーツ単位で交換できる構造は地味ながら重要な部分だろう。
長期使用を想定した作りになっている。
電動機能

LiberNovo Omni最大の特徴ともいっていいのが「電動機能」だ。
背当て、腰当てに当たる部分を電動で調整することができる。
だが、単純に「背もたれが電動で動く椅子」というだけではない。
背面には8枚のフレキシブルパネルがあり、14カ所のデュアルリンク構造、16個のボールジョイントが連動する。

人間の背中の動きを再現するような構造になっており、8枚のパネルが柔軟に動きながら、電動ランバーサポートと連動する。
要するに、背中のカーブに合わせて「バックレストそのもの」が形を変えてくる。
人間の背骨の形は1人1人違う。
しかも、同じ人間であっても、ずっと同じ姿勢で椅子に座っているわけではない。
少し身体を倒す。
姿勢を戻す。
左右に身体を動かす。
その度に背中の形や、椅子と身体が接触する位置も微妙に変わる。

LiberNovo Omniは、そんな姿勢の変化に合わせてバックレスト自体がフィットする構造になっている。
背当てや腰当てを「手動」で調整できるチェアはいくつも存在する。
だが「電動」というと、かなり珍しい。
これまでのオフィスチェアは、ある意味で「人間が椅子に合わせる」ものだった。
座面の高さを変え、腰当てを調整し、アームレストを動かし、自分なりの正解を探していく。
しかし、LiberNovo Omniは逆だ。
「椅子のほうを人間に合わせる」。
しかも座ったまま、指先1つで。
手動ではないからこそ、細かな調整を気軽にいつでも行える。
実際にこの電動機能での調整を試してみると、今までの椅子では味わえなかったフィット感を得ることができる。
リクライニングの角度に合わせて調整する。
作業するときに調整する。
動画を見るときに調整する。
その日の体調や気分に合わせて調整する。
1つの正解に椅子を固定するのではなく、その都度、自分に合わせて椅子を変えられる。
この「気軽に調整できる」という部分こそ、電動である最大の意味なのだろう。
もちろん、電動機能ゆえに当然「電力」は必要だ。
椅子にバッテリーを挿入することでワイヤレスで使用できる。ワイヤレスなため、デスク周りに謎の電源ケーブルが1本増えることもない。
バッテリーは付属しており、メーカー公称ではフル充電で約1ヶ月の使用が可能となっている。
充電が必要というのはややネックなポイントではあるものの、頻繁に充電する必要がないことを考えれば、そこまで大きなデメリットではない。
ヘッドレスト&アームレスト

もう何が何でも座る人間の体型に合わせてやるぞ!
そんなメーカー側の意地すら感じる。
調整できるのはバックレストだけではない。
アームレストは前後左右、高さ、角度を調整可能。
ヘッドレストも高さ、前後位置、角度を調整できる。
背中、頭、腕。
椅子と体が触れる部分を片っ端から調整できるようにしている。

ここまで調整が可能だと、LiberNovo Omniが異常なほど「フィット感」にこだわっていることが分かる。
アームレストもヘッドレストもクッション性がしっかりしている。
ヘッドレストには親水性スポンジが採用されており、通気性が良く、ふわふわした感触。
アームレストは若干硬めではあるものの、クッション性のある素材になっている。
座面には3つの硬さで体圧を分散するマルチ密度クッションが採用されており、長時間座っていても疲れにくい。
1つ1つのパーツを見るだけでも、とことん「フィット感」にこだわっていることが伝わってくる。
リクライニング

LiberNovo Omniが最大の効果を発揮するのは、もしかするとリクライニング時かもしれない。
最大160度。
だが、単純に背もたれが倒れるだけではない。
LiberNovo Omniには「ダイナミックサポート」という構造がある。
リクライニングすると、バックレストだけでなく、座面、アームレスト、ヘッドレストまで身体の動きに合わせて追従する。
ヘッドレストは首の動きに追従し、視線の角度を一定に保ちやすくする。
バックレストは背中のカーブや動きにフィットし続ける。
アームレストも腕の位置に追従する。
そして座面も、姿勢に合わせて自然な角度で傾斜する。
普通の椅子なら、姿勢を大きく変えた時にヘッドレストやアームレストを再調整したくなることがある。
だが、LiberNovo Omniは椅子側の各パーツが連動して動く。
身体を倒す。
椅子もついてくる。
身体を戻す。
椅子も戻ってくる。
都度、細かく調整する必要がない。
これが「動的エルゴノミックチェア」ということなのだろう。
実際に後傾姿勢で使った時のフィット感は本当に素晴らしい。
普通に寝れる。
いや、流石に寝返りを打った時が怖いので本当に寝てはいないが、オプションである「StepSync フットレスト」と一緒に使用することで、仕事用の椅子だったはずのLiberNovo Omniが、一瞬で完全なリラックス空間になる。
さらに電動であることを活かした「Omniストレッチ」というストレッチ機能まで搭載している。
最大160度までリクライニングした状態で使用すると、5分間、バックレストがゆっくりと動き、背骨を伸ばすようにストレッチしてくれる。
作業の合間のリフレッシュタイムに使える機能だ。
私もすでに1ヶ月ほど使用しているが、ついついリクライニングしてストレッチ機能を使ってしまう。
もはやちょっとした癖になっている。
仕事をしている。
少し疲れる。
リクライニングする。
ストレッチする。
そしてまた仕事に戻る。
完全にLiberNovo Omniに生活習慣を作られてしまった。
デメリット

メリットばかりを語ると信頼性がなくなるので、デメリットについても語っていこう。
まず本体の重量はかなりある。
電動で稼働する部分があるため仕方ない部分ではあるが、通常のオフィスチェアよりも存在感があり、かなり大きく感じる。
このゴツさを感じる構造があるからこそ抜群のフィット感を生み出している部分はある。
ただ、部屋が狭い人や、デザインとしてスッキリした椅子を求めている人には存在感が気になるかもしれない。
また「座面の奥行き」自体は調整できないため、購入時に座面のサイズを選ぶ必要がある。
Mサイズは座面の奥行き約45cm、Lサイズは約48cmの二択だ。
身長によって選択することが推奨されており、私は自分の身長に合わせてMサイズを選択した。
不満はない。
ただ、実際に1ヶ月使っていると、「Lサイズでも良かったかも?」と感じる時がある。
特に椅子の上であぐらをかくような人の場合、Lサイズのほうが合う可能性もあるだろう。
オンライン購入の場合、実際に座ってサイズを比較できない。
この座面サイズ選びは少し悩ましい部分だ。
なお、座面の奥行き自体は調整できないものの、先ほど紹介したダイナミックサポートにより、リクライニング時には姿勢に合わせて座面の角度自体は自然に傾斜する。
また、電動機能を動かすスイッチが左側のアームレスト部分にある。
当然、座ったまま操作しやすい。
ただ、ふとした時に不意に触れてしまうことがある。
個人的にはスイッチに「ロック機能」が欲しかった。
しかも、私の家には現在「2歳児」がいる。
光る。
押せる。
動く。
2歳児にとって、これほど魅力的なおもちゃはない。
まるで自分の椅子かのようにスイッチをいじり尽くしている。
チャイルドロック的な機能があれば、個人的にはありがたかった。
さらにいえば、LiberNovo Omni自体がオススメの座り方として「後傾姿勢」を推奨している。
私のように記事を書いたり、動画編集をしたり、動画を見たりする人間との相性は非常にいい。
アニメを長時間見る人にもおすすめだ。
一方で、常に前のめりになって細かい作業をする人の場合、この椅子最大の特徴であるバックレストのフィット感を100%活かしきれない可能性はある。
イラストレーターなど、前傾姿勢で細かな作業を続ける人の場合は、実際に試座してから判断したほうがいいかもしれない。
ただ、LiberNovo Omniに座ると自然とバックレストに身体を預ける形になり、「後傾姿勢」になる感覚もある。
長時間のデスクワークで姿勢に悩んでいる人なら、これを機に座り方そのものを変えてみるという選択肢もあるだろう。
価格

そして最後に価格だ。
定価では171,600円(税込)する。
安い椅子ではない。
椅子にここまでの金額を出せるのか。
これは間違いなく購入するうえで最大の壁になる。
数千円、数万円のオフィスチェアと比較する商品ではない。
ただし、現在はミッドナイトブラックとモスグリーンの椅子単体が、キャンペーン価格100,900円(税込)で販売されている。
このキャンペーンは7月末まで実施予定となっている。
定価から考えると、かなり大きな価格差だ。
LiberNovo Omni自体も7月31日をもって販売終了予定となっているため、今回紹介したモデルが気になっている人にとっては最後のタイミングになる。
だが、毎日8時間。
年間で約2000時間。
それを何年も椅子の上で過ごす人間にとって、椅子にどこまでお金をかけるのか。
そこは人によって答えが変わるだろう。
11億の椅子は全人類対応の椅子だった

子供の頃から、学生、社会人になっても、私たちは椅子に座り続ける。
だが、人間の体型は1人1人違う。
身長も、体重も、背骨の形も、腕の長さも、座り方も違う。
ならば「全人類にとって完璧な椅子」など存在しない。
そんな中でLiberNovoが出した答えは単純だ。
全人類に合う椅子を作るのではない。
「全人類に合わせられる椅子」を作ればいい。
それがLiberNovo Omniなのだろう。
私もこれまで色々なオフィスチェアを試してきた。
だが、このフィット感は唯一無二だ。
長時間の作業、リクライニングしながらの動画視聴、ゲーム、そして作業の合間のストレッチ。
1つの椅子でありながら、その時の姿勢や用途、体調に合わせて椅子そのものを変えることができる。
人間が椅子に合わせるのではない。
椅子が人間に合わせる。
11億円もの期待を集めた理由は、1ヶ月使ってみて嫌というほど分かった。
椅子という永遠のテーマ。
LiberNovo Omniは、その答えの1つなのかもしれない。
在庫限り

なお、LiberNovo Omniは在庫限りとなっており、7月31日をもって販売終了予定となっている。
「いや、レビューを読んだ頃には売ってないんだが?」
となる人もいるかもしれない。
ただ、LiberNovo自体が終わるわけではない。
8月1日からは、LiberNovo Omniをベースに各部をアップデートした後継モデル「LiberNovo Omni GEN」が発売予定となっている。
従来のOmniでは4段階だったリクライニングが5段階へ拡張。
アームレストやヘッドレストの可動域、調整幅も広がっている。
さらにバックレストとバックサポートバーの接続位置も見直され、より快適な座り心地を目指した構造へアップデートされている。
Lサイズでは、膝裏が当たる座面前方の縁部分のクッションも厚くなり、前滑りを防ぎながら、より柔らかな座り心地になるという。
もちろん、今回紹介したダイナミックサポートやOmniストレッチといった基本機能、コンセプトは引き継がれる。
さらに座面にファンを搭載した上位モデル「LiberNovo Omni Pro」や、電動機能をオミットした「LiberNovo Omni SE」という選択肢もある。
今回紹介したOmniが気になった人は在庫があるうちに。
間に合わなかった人は、8月1日発売予定のOmni GENを待つという選択肢もある。
展示体験を行っている店舗もあるため、高級チェアだからこそ、可能であれば実際に試座してみることをおすすめしたい。
椅子という永遠のテーマを巡るLiberNovoの挑戦は、まだまだ続くようだ。
LiberNovo Omni
https://bit.ly/3QSTjDu
■ 展示体験店舗一覧
https://jp.libernovo.com/pages/where-to-buy
